August 22, 2009

今週の一曲:The Smashing Pumpkins

The Smashing Pumpkins/Mayonaise <1993年>

The Cure(キュアー)とともに、ボクにとって一番思い入れのあるバンド、The Smashing Pumpkins(スマッシング・パンプキンズ)。1曲目からラストまで全て口ずさめるほど、何千回と聴いた生涯の愛聴盤である「Siamese Dream」と「Mellon Collie and the Infinite Sadness」の2枚は、今でも聴くたびに新しい感動と発見と歓びがある。つまりそれほどスマパンが好きな訳で(笑)、しばらく長い文章にお付き合いください。

ライブを観たのは三回。1993年、2ndの「Siamese Dream」リリース直後、まさに全世界でブレイク寸前のタイミングで2度目の来日となった心斎橋クラブクアトロは揺れに揺れた。爆弾が落とされたかのような凄まじい演奏に、狭いフロアは絶叫&モッシュの嵐。当時のロックシーンの頂点に昇りつめようとしているバンドの最高潮の勢いがそのまま凝縮されたライブは、今思い出しても鳥肌が立つ。超絶フレーズを余裕の表情でキメまくるビリー。ときおり変テコなオモチャを出してきて笑いをとるイハ。紅一点どころかまるで妖精の如く美しいダーシー。CDより3割増しのテンポ&手数の多さで突き進むジミー。あの完璧なる4人を小さな空間で観ることができたのは奇跡だったかもしれない。

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その二年後の1995年、大作「Mellon Collie〜」をリリースした後の関西公演は、スタンディングと座席指定ありのホール(ボクの地元・尼崎アルカイックホール!)とで2箇所行われた。もちろん両方とも行き、ホールの方は前から5列目、ビリー・コーガンのすぐ目の前というとんでもなく良い席をとることができた。このアルバム自体が様々なタイプの曲で構成されていたため、ライブもハードネス一辺倒ではなかったことを考えると、じっくりと聴くことができる座席指定は良かったと言える。そしてこの日のライブも、ある意味生涯忘れられないものとなった。

ライブは2部構成で、第1部は静かな曲を中心としたアコースティック・ライブ。しかもメンバー全員がパジャマ姿という粋な演出。そして休憩をはさみ第2部がハード&ヘヴィなスマパンならではのライブと、これでもかというほどサービス満点の内容。ところが第2部の中盤あたりで、ちょっとした事件が起こった。

一人の興奮したアメリカ人が警備員の制止を無視して、後方の席から通路の最前列部までおしかけ、ステージの縁、ビリーの斜め前の足元辺りにそのまま居座ったのだ。で、その後も度重なる注意を受けるものの全く動こうとせず、そのうち警備員も諦めてしまった。ステージによじ登った訳ではないので、特にその行為自体はライブの進行を妨げたりすることもなかったのだが、この馬鹿外国人を物凄い形相で睨んでいる一人の正義漢がいた。

その男の名はJames Iha(ジェイムス・イハ)。

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いつもニコやかに飄々とした佇まいでギターを弾いていた彼が、演奏中何度もステージ上から睨んでいるのである。席が近かったため、その表情までハッキリと見えたのだが、猛烈に腹を立てているのがよく分かり、見ているこちらがヒヤヒヤするほどであった。日本語を話せない、まんま日本人のルックスをしたこの日系人ギタリストは、おそらく外国人のこういったマナーの悪さが許せなかったのかもしれない。

一方、ビリーはといえば特に気にする様子もなく、始終ご機嫌な様子。この日はもともとホールの2階部のチケットは発売されておらず、その部分には客が入れられていなかった。途中ビリーが「ちょっとライトをつけてよ」と照明さんに告げ、空っぽの2階部に灯りが点けられたのを目にした瞬間、「おいおい!マジかよ?」とゲラゲラ笑っていた。

話はイハに戻るが、彼の怒りは遂にアンコールの時に爆発する。本編が終わり、鳴り止まぬ拍手と歓声の中、再びステージに現れたメンバーだったが、イハはステージ中央のビリーのマイクをむんずと掴むなりそいつを指さして、「とっとと失せろ、このクソアメリカ人!ルールを守りやがれ!」とまくしたてたのだ。あの物静かな彼が、もう「Fuckin'」の大連発。すると次にビリーが「ヘイ、何か言えよ」と、おもむろにマイクをゴンッとそいつの前に放り投げる。ビビったそのアメリカ人は、何か一言二言意味不明のジョークを言ってビリーにマイクを放り返した。

その時ビリーが観客に向けて放った言葉が痛々しい。「みんな見たかい?分かるだろ、これがアメリカ人なんだ。そして悲しいことに僕もアメリカ人なんだよ。」と諦めたような笑いを浮かべながら、アンコール一曲目のイントロを弾き始めた。「くぅ〜 カッコ良すぎるよ、あんた達・・・」ボクは心の中でそっと涙を流したのだった。

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動画はボクがスマパンの中で一番好きな「Mayonaise」。この曲を聴くと決まって胸がキュ〜っとなる。
挿入されている若かりし頃のライブ映像や、4人の無邪気な笑顔も、このメンバーでの復活がもう考えられないだけに、やたら切なく見えてしょうがない。あぁ涙で前が霞む・・・。


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1. No.29 SMASHING PUMPIKINS/GISH(1991)  [ ヒゲ☆メガネのCD見聞ROCK ]   August 25, 2009 00:32
荒削りながらもその才能の片鱗を覗かせるデビュー作。 プロデューサーは「あの」ブッチ・ヴィグ。

この記事へのコメント

1. Posted by FUJIMIROCK   August 22, 2009 17:44
すでにコハゲさんとは,どこかの記事で,スマパンの@心斎橋クアトロの話で盛り上がったような記憶がありますが,あらためまして。

もし,「これまでのあなたの観たライブでのベスト・ライブは?」と訊かれたら,スマパンのクアトロを真っ先にあげます。(それとジェフ・バックリーのクアトロも)
私もあのライブでの興奮は一生忘れられないし,今もコハゲさんのこの記事を読んでいるだけで鳥肌がたったりしています(笑)。
そして,この記事にある「メランコリー」後のライブ。残念ながらこのライブは体験できなかったのですが,記事にある一件は,雑誌か何かで知りました。イハの怒りとビリーのセリフ。ロックすぎます。今のスマパンがあまりにも痛々しすぎますが,やはりこのバンドは,ニルヴァーナやパールジャムぐらい正当に評価されるべき偉大なバンドでしたね。
2. Posted by コハゲ -管理人-   August 23, 2009 18:10
>FUJIMIROCKさん

そうそう、既にどこかで一度ありましたね(笑)。
今まで本当に沢山のライブを観てきましたが、あのクアトロでのライブは
ボクの人生の中でもベスト3に入っています。
確か『Soma』で静かにスタートして曲の途中から爆発したんですよね。
『Geek USA』での強烈さには「ギョエーッ、凄すぎる!!!」と死にかけました。

ボクはニルヴァーナよりも圧倒的にスマパン派なので、中古とかで叩き売られているのを見ると、
あまりの周落ぶりに無性に悲しくなります(泣)。もっと評価されろよ!と。

ところでジェフ・バックリー、それはうらやましすぎ!
見逃してしまったので痛恨です・・・。
3. Posted by william   August 24, 2009 23:41
俺はフェス以外で、外国アーティストのライヴを観たことがないという、内向的なやつなんだけど(笑)、いつも(ソニック・ユースの時も)コハゲさんのライブ記事を読んで、自分も観た気になって熱くなってます。
今回もこのライブの凄まじさが伝わってくる記事でした!
俺もスマパンの曲では「マヨネーズ」が1番好きです。
4. Posted by ヒゲ☆メガネ   August 25, 2009 00:54
ううむ、なんてカッコいいんだビリー&イハ。
そりゃこんな良いライブ体験してたら、イハ君のソロ二作目が出るならなんぼでも出す!という言葉がコハゲさんから発せられるのも頷けます(笑)。

しかしクアトロですか…。
僕もラヴロケとマンソンのクアトロ公演に参戦したことは結構自慢なんですが、スマパンのこの熱いライブには正直勝てる気がしないです。
あの狭い空間で観るダーシー…じゃなかったスマパン、さぞ神々しかったんでしょうね!

是非オリジナルメンバーに近い形で再結成して欲しいですね…。
5. Posted by コハゲ -管理人-   August 25, 2009 21:50
>williamさん

そう言っていただけると本当に嬉しいです!
あんまり文章が長いと誰も読まないんじゃないかって、いつもドキドキしてますから(笑)。
「マヨネーズ」が一番とはこれまた気が合う!
今度ビールおごらせてくださいな。
あの轟音と切なさがユラめく感じが、何万回聴いてもタマらないです。
6. Posted by コハゲ -管理人-   August 25, 2009 21:57
>ヒゲ☆メガネさん

ようこそダーシーフェチさん(笑)。
いや〜クアトロではもう超間近で拝みましたよ、2mぐらいの至近距離で。
ダーシーとイハへの歓声は、ビリーよりも遥かに凄かった!
今ダーシーは既に音楽の世界から離れ、牧場で暮らしているそうです。

しかしラブロケ!これまた痛恨の見逃しです。あぁ(泣)。
マンソンはクアトロで観たらデカかったでしょうね〜いろんな意味で(笑)。
7. Posted by mary poole   August 26, 2009 17:10
あぁ・・・、あまりにうらやましすぎます。「siamese」時代のライブを経験出来たなんて・・・!
siamese時代のメンバーは皆無邪気な感じでいいですよね。
それにしてもライブ時にこんなエピソードがあったとは!イハが四文字ワードを連発してる姿見てみたかったです。
私の中では「mayonaise」は神曲です!歌詞も曲も最高で、ビリーは本当に最高の表現者だと思います。スマパンがいなかったら今の自分はいなかった。それくらい好きなバンドです。
8. Posted by コハゲ -管理人-   August 26, 2009 20:39
>mary pooleさん

サイアミーズのツアー、もう16年も前のことになるんですね・・・
どっぷり長いことロックにハマっているとこんな奇跡にも遭遇したりします(笑)。
あの頃の4人は無敵かつ絶好調という感じで、眩しいほどにハジけまくっていました。

mary pooleさんと同じく、ボクにとってもスマパンはとてつもなく大きな存在です。
そしてハイ、「Mayonaise」は神曲で、次の「Spaceboy」へと続くところはまさしく「神の流れ」ですよね!
ビリーもまだ「髪」があったし・・・って、それはサブすぎますか。。。

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四十代・子持ちにしていまだにCDを買いあさり、ライブで暴れる阿呆な関西人。職業はWeb屋。最期はロックで腹上死を求む。くだらないコメント大歓迎!
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